エンクレストマンションが展開する福岡市は中世からの商都「博多」と
近世(江戸時代以降)以来の武家町「福岡」を擁する双子都市として発展しました。
(湛)
「さあて、博多の寺院訪問もやっとここまで来ましたね。」
(室)
「歴代の黒田藩主が眠る崇福寺!」
(湛)
「ホントは叔父さんのお墓があるから来たかっただけなんデスヨ・・・・。」
(室)
「やかましい!」
(湛)
「でも、確かに崇福寺は葬られている方々がBIGというだけでなく、建造物も由緒あるものが多いですよね?」
(室)
「その通り!まず正面に見えてくる立派な山門は、かつての福岡城本丸の表門じゃ。」
(湛)
「なるほど・・・・。福岡城跡に残っている建造物が少ないことを考えると、これは貴重ですね。しかも、この門構えはお寺というより城郭の方がしっくりきますね」
(室)
「それだけではないぞ。この奥に見えている唐門は名島城より移されたものと伝わっているのだ。」
(湛)
「名島城といえば、毛利元就公の三男で太閤(豊臣秀吉)様の信頼も厚かった名将・小早川隆景殿が、現在の東区名島に築いた安土桃山時代の城ですね。」
(室)
「左様。自ら小早川水軍を率いていた隆景殿らしく、水軍基地としても利用出来、黒田長政殿が福岡城を築くまでは文字通り筑前国(福岡県西部)の政庁として機能していた名城なのだ。」
(湛)
「現在では、跡地の小高い丘に名島神社と小さな石碑が残るのみの幻の城でもありますよね。」
(室)
「だからこそ、この崇福寺に残された唐門と福岡城の名島門(やはり名島城から移された門)は、名城・名島城を知る上で貴重な遺構なのだ。」
(湛)
「そうだったんですね!それだけでも崇福寺に来る価値がありますね?歴代黒田藩主が眠るという墓地の方にも行ってみましょうよ!」
(室)
「墓地の南の方は・・・・?おお、ここは玄洋社の墓地か!?」
(湛)
「玄洋社といえば、かつて福岡に拠点を置いた政治団体ですね?」
(室)
「左様。もともとは幕末の外国からの圧力を、天皇中心の政治体制で打ち払おうとする筑前勤王等出身の頭山満らが創設した団体だ。現在でいうところのNGOにも似たところがあり、そのネットワークは強力で、辛亥革命を成功させた孫文や蒋介石も玄洋社の支援を受けていたほどだ。」
(湛)
「現在ではあたかも過激派やテロ集団と勘違いされることも多いようですが・・・・?」
(室)
「そんなことはない。社員の来島恒喜が大隈重信(明治時代の首相、早稲田大学を創設)に爆弾テロを敢行したことや、『大アジア』思想を高らかに唱えていたことから誤解を生んでいるようだが、一方で、『人民の権利を固守』とも主張しており、戦後にも玄洋社出身者が閣僚や福岡市長等の要職に就いている・・・・。戦前の総理大臣・犬養毅や廣田弘毅も玄洋社との関係が深かった。」
(湛)
「そう聞くと、ごく普通の政党やNGOのようですね?」
(室)
「その通り。今では福岡市民でも玄洋社の名を知る人は少なくなってきているが、幾多の名士を育んだ母体としてもう少し認知・評価されて良いと思うぞ。」
(湛)
「激動の時代に生まれ、激動の時代に幕を閉じた頭山満ら玄洋社の面々は今ここで静かに眠っているわけですね・・・・。」
(室)
「今度は墓地の北側へ参ろう。」
(湛)
「叔父さん、この門は何でしょう?」
(室)
「藤水門・・・・。これは黒田長政殿以下、歴代黒田藩主の墓所じゃな。」
(湛)
「神聖な場所として門の中には入れないようになっていますね。」
(室)
「気持ちは分かるが、ここだけの話、黒田官兵衛殿は目立ちたがり屋の寂しがり屋・・・・。多くの市民が官兵衛殿を郷土の英雄として毎日訪ねた方が喜ぶと思うがな・・・・。」
(湛)
「そうですね(笑)。」
(室)
「さあて、アレはどこだ?アレ・・・・?」
(湛)
「叔父さんも意外と目立ちたがり屋なんですね?どうせ、『博多三商傑・島井宗室』が眠る瑞雲庵を探しているんでしょ?」
(室)
「(ギクッ)・・・・。コホン。宗湛よ、そこまで私の気持ちを察しているのならば、あちらの建物で聞いてきてくれ・・・・。」
(湛)
「ハイハイ。全く叔父さんは人使いが荒いんだから・・・・。ちょっとすいませ~ん!」
(室)
「どうであった?」
(湛)
「それが・・・・。」
(室)
「どうしたのだ?」
(湛)
「受付の方いわく、『わかる者が外出しております!』とのことでした・・・・。」
(室)
「ガーン!」
(湛)
「叔父さん、何だか顔色が悪いですよ!」
(室)
「不祥、島井宗室!これでも博多三商傑の一人として、天下の御用商人とも言われたのに・・・・。」
(湛)
「きっと叔父さんが年寄り臭い説教ばかりあちこちでするから煙たがられてるんですよ!子孫にもそんな家訓を残してたでしょ?」
(室)
「(キッとにらんで)それ以上言うな!」
(湛)
「と、とにかく崇福寺は良い歴史スポットです!貴重な建築物も多く、歴代黒田藩主をはじめ、博多に由来の深い方々がたくさん眠っています。でも、お願いですから私の叔父、島井宗室の墓『瑞雲庵』が分かる方を常駐させて下さ~い!」
(室)
「・・・・。」
(湛)
「さぁさぁ、叔父さん大丈夫ですか?しっかりして下さい。ボクもこの暑さの中で叔父さんを担いで帰るのは無理ですからね!フラフラしないでちゃんと歩きましょうね!シーユーネクストアゲイン!」
[続く]