エンクレストマンションが展開する福岡市は中世からの商都「博多」と
近世(江戸時代以降)以来の武家町「福岡」を擁する双子都市として発展しました。
(湛)
「本日は以前に『本能寺の変』の項でもお話しした、叔父さんが本能寺からかっぱらった弘法大師空海直筆『千字文』が収蔵されている大博通り沿いの東長寺を見学しませんか?」
(室)
「待てい!いつ私が『かっぱらい』をしでかしたのだ?あくまでも貴重な文化財が焼けるのが惜しかったから持ち出したと言うておろうが!」
(湛)
「叔父さん、冗談ですよ!まあまあ、どうどう!」
(室)
「全く冗談が過ぎるわ。それで、お前は東長寺へ行って再び私を皆様の前で『かっぱらい』呼ばわりしようとでも言うのか?」
(湛)
「そうではありませんよ。我々が黒田殿からこのお役目を引継いで間もない頃、重要文化財である聖福寺と、私の起居する妙楽寺には皆様をご案内しましたが、両寺院のすぐ傍にある東長寺はご案内しておりませんでした。それが多少心残りだったもので・・・・。」
(室)
「ほほう?それは良い考えだ。早速行くとしよう。」
(湛)
「皆様に分かり易いようにご案内すると、エンクレスト御供所から大博通り沿いに博多駅方向へ向かうと、山門や鐘楼が見えてくるのが東長寺です。」
(室)
「通り沿いからもかなり目立つ伽藍じゃのう。」
(湛)
「早速、お邪魔しま~す。あれ?叔父さん一大事ですよ!」
(室)
「どうした?」
(湛)
「福岡大仏!全高16メートルだって!ご存知でした?」
(室)
「ナヌ?それは初耳だ。全高16メートルであれば、奈良の大仏の全高約15メートルを凌ぐ高さではないか!早速拝ませて頂こう。2階が入口らしいな。」
(湛)
「撮影禁止らしいから、デジカメはしまっとこ。」
(室)
「おお、何と荘厳な仏様じゃ!まるで今にも動きそうじゃ。」
(湛)
「奈良の大仏様は土の御体に表面を銅(本来はその上に金箔)で作られていますが、こちらの福岡大仏はほとんど木製のようですね。」
(室)
「なになに・・・・。地獄体験じゃと?」
(湛)
「仏様の台座の袖から入るようですよ。中では御説法のテープが流れているみたいですね。行きましょう!」
(室)
「こらこら、暗いから押すな!」
(湛)
「そ、そんなこと言ったって!」
(室)
「(数分後・・・・)あいた~っ!」
(湛)
「ごめんなさい!」
(室)
「こともあろうに、叔父である私を突き飛ばすとは・・・・。お前とは二度と暗闇には入らぬわ!」
(湛)
「反省しております・・・・。」
(室)
「気を取り直して久しぶりに『千字文』を見て帰るか?」
(湛)
「やや!叔父さん、宝物館は閉鎖になっていて見学は出来ないそうです。」
(室)
「ガーン!それは淋しい・・・・。」
(湛)
「まあまあ、叔父さんもそう落ち込まずに。境内には他にも素晴らしい見所が沢山ありますよ。」
(室)
「この東長寺は、そもそも空海(弘法大師)が中国大陸にて密教を学んで帰国した際に開いた由緒ある寺院で、現在でも九州における真言宗の拠点となっているそうな。」
(湛)
「そうですね。その後、戦乱等で荒廃し、2代福岡藩主黒田忠之公(初代福岡藩主・黒田長政の長男)の時代に黒田家の支援を得て復興されました。」
(室)
「それで黒田忠之公の墓が境内にあるのか・・・・。」
(湛)
「はい。父祖の黒田如水様・黒田長政様等は県庁近くの崇福寺にあるのですが・・・・。忠之公は東長寺に余程強い思い入れがあったのでしょう。」
(室)
「そして、これが本堂というわけか・・・・。勿論創建当時の建物ではないが、いかにも創建当時を偲ばせる大陸の影響を強く受けた雰囲気を醸し出しているな。」
(湛)
「というと?」
(室)
「例えば、京都の平安神宮は平安京大極殿(重要儀式などが行われた宮殿の建物)を模しているのだが、私自身はあの大極殿によく似た荘厳なデザインだと思うのだが?」
(湛)
「確かに云われてみれば、平安時代初期の薫りがしますね。」
(室)
「さて、本堂はこれくらいにして・・・・。六角堂かな?」
(湛)
「こちらは江戸時代に建てられたものですが、聖福寺の住職として有名な仙厓和尚等、当時の著名人の書画が収納されています。」
(室)
「一度に沢山参拝出来るように六角形というのが面白い。」
(湛)
「中におわします仏様は6体ですから、ご利益は6倍ですね。」
(室)
「ハハ、その通りじゃ。しかし、東長寺は厳かだが実に面白いところじゃ。また参拝に来たいものだ。」
(湛)
「そうですね。また一緒に地獄めぐりをやりましょう!」
(室)
「お前とは絶対イヤだ!」
(湛)
「・・・・。」
[続く]